「治療方法に対する意見は様々」

過日、矯正を専門としているらしい歯科医師の方とお話をする機会がありました。1時間未満でしたので、先方のお話の真意を私が捉えきれていないかもしれません。しかしながら、考え方が違うなぁと思いながら聞いておりましたが、再度私なりに考えてみました。

気になったのは次の3つの点でした。第1は「今流行りのマウスピース矯正はAIによるので失敗が多い」、第2は「マウスピース矯正は儲け主義である」、第3は「インプラントは穴を開けてインプラントをおいてくるだけ」というお話しです。

まず、第1の「AIによるマウスピース矯正」についてですが、AIで360万以上の症例から適切な例のデータに基づき、患者の現在の歯の位置から期待する歯の位置に移動するよう必要な数のマウスピースをアルゴリズムを使って作成するようです。お話しをされた先生は、目視によって作成する治療の方が良いと言われましたが、いずれにしても目視は必要かと思いますが、私は、本当にそうでしょうか?と考えてしまいました。どのような治療でも医師はご自身の過去の経験と他の先生方の過去の成功例を頭に入れて診断・治療を行います。これがエビデンスに基づいた医療と一般的に言われていることです。従って、エビデンスが多ければ多いほど、診断と治療の選択肢が増えることになります。人間はそれぞれ個体に違いがありますので、治療は個々に即したテーラーメードです。それゆえ、多くの実例からその症例に近い例を参考にし診断し治療します。これからすればデータが多ければ多い程良い治療ができる可能性が高くなると言えます。ですから、ビッグデータからAIを用い治療方法の選択肢を導き出すのはベターな方法と考えています。さらに付け加えれば、このAIによる治療は既に認知されて一般的に行われている治療方法であるとのことで、それだけ成功例、つまり、患者満足度の高い治療方法と言えるのではないでしょうか。

次に、第2点目の「マウスピース矯正は儲け主義だ」というご意見ですが、私の医療業界での経験からの持論は、「経済原則に基づかない医療はありえない」ということです。儲け主義の定義は別にして、適切な治療を提供して利益を得ていただきたいと思います。そうでないとネットで評判や治療費用の相場がわかりますので、過度のことをしていれば淘汰されます。そして、病院と医師が利益を得ることによってのみ、医療知識・技術、医療設備に投資することができ、結果として継続的に質の高い医療を提供することができます。誤解を恐れずに申し上げますと、医療に利益を産む構造がないと製品を提供する企業も製品開発に投資をしませんし、医師も治療を習得するインセンティブが働きません。この収益メカニズムの無い所には、企業と医師による新しい治療方法が生まれることはありません。

さて、3つ目の「インプラントは穴を開けてインプラントを置いてくるだけだ」とのお考えについてですが、ただ単に一言で表現されただけと思います。私がここで知っていただきたいことは、インプラント治療はCTから得たデジタルデータを元にアプリケーションを用いて治療設計を行います。このようにインプラント体を入れる角度、深度などを考慮する、適切なインプラントを選ぶ、にもデジタルデータを活用します。こうして、ドクターは安全で確実な手術方法を決定します。そして、それに合うステントというものを作成し、これを用い治療計画通りの角度と深度で実際のインプラント手術を行います。現在はこれから更に進化して、インプラント手術も、口腔内ではなくモニター画面を見ながら行うことにより、より正確に患者様の負担の少ない術式になりつつあります。ですので、インプラントは決して穴を開けてただ置いてくるだけのものではありません。

このように同じ治療法でも医師によってご意見や説明は違うようです。私達患者も治療を受ける前に様々な情報を集め、また、医師にも良く説明をして頂き、わからない点は臆せず質問し、納得出来なければ他の医師の意見も聞くという事が重要であると思います。

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