「インプラントの撤去」

前回の投稿「インプラントが折れる」を考えている途中で、インプラント撤去数がどれくらいあるか、また、その理由に興味が沸きましたので調べてみました。

如何せん、これは結構大変でした。まず、インプラント治療は自費であるために、日本全国のインプラント治療件数をまとめた年間統計が見あたりません。それではと、歯科大学や開業医の先生方が、インプラント治療後のインプラント撤去数を公にまとめた調査を探してみましたが、これもわかりませんでした。また、撤去には以前『インプラント周囲炎を引き起こすのは?』のコラムでお知らせしましたような理由(外科手術、補綴、歯垢など)でインプラントの再治療が必要なこともあります。当然、撤去した数がわかりませんので、どのような理由でどれくらい抜去されたかも、残念ながらわかりませんでした。

ただ一つの手がかりは厚生労働省統計の「令和元年(2019) 社会医療診療行為別統計 令和元年6月審査分」にある「歯科インプラント摘出術」でした。2019年6月の1ヶ月だけで約1,400件ありました。これは保険診療で行われた撤去数ですから、自費治療で撤去し新しいインプラント治療をした撤去数は入っていないと思います。が、2019年6月には約1,400件の撤去が保険で行われたのは間違い無い事です。次にこの数が多いか少ないかですが、以前聞いたところによると2016年累計で300万人ぐらいインプラント治療した方がおられるとのことでした。私の調査では、これから5年の間では、年間35万人ぐらいのインプラント症例がありますので、今は400万人ぐらいのインプラント治療を受けた方がおられます。この治療数は過去何十年にわたって行われたインプラント数と治療後の経過年数および過去の製品も含めての総数ということを考えますと、一月に1,400件の撤去数を多いというのは語弊があるかと思います。つまり、手術でこれくらいはあっても不思議はないのではないと考えています。とはいえ、このようなデータをみる限り、これからもインプラント治療は100%再治療が必要でないとは言い切れないと言うことです。

今回調べてみて、私どもは自分で情報を収集して、確実で安全な治療を提供していただける施設でインプラント治療をすることが必要不可欠であるとの思いを強くいたしました。しかし、これがベストの方法とは言え、同時に一般的には大変なことでもあるのです。

ページトップ