「インプラント周囲炎を引き起こすのは?」

前回の講演を聞いた話の続きですがインプラント周囲炎になる理由についてお話しされておられました。興味がありましたのでその参考文献を調べてみました。

それは国際的なスピーカーであるイタリア人歯科医による2015年発表の文献からの情報です。それによりますとインプラント周囲炎を引き起こすのは、外科によるもの、補綴によるもの、純然たる歯垢によるものの3つです。この研究は、合計2,812本のインプラント治療を受けられた926人の患者様のデータから、この研究に適合する56人の患者様(インプラント本数332本)で調査したものです。332本のインプラントの内、インプラント周囲炎に罹患した125本(37.8%)の原因を分析しています。結果として51本(40.8%)は「外科的」な理由で引き起こされ、38本(30.4)は「補綴的」、36本(28.8%)は「歯垢」によるものという結果です。調査に使用した56名の患者数と125本のインプラント数が多いか少ないかの議論は別として、こうした研究データは一考に値します。インプラントの形状や長さ、埋入角度や深度、手術方法などに由来する「外科」やインプラントの上に乗せる歯冠の材質、形状や方向などに由来する「補綴」からなるインプラント周囲炎は、歯科医師の経験と技量に100%依存すると考えています。純粋たる「歯垢」からなるインプラント周囲炎は、患者側のメインテナンスにも課題があるかと思います。

5年前の発表なので、この間には治療技術や製品は改善され進歩しています。同じような研究を現在行えば、332本の内125本、37.8%のインプラント周囲炎の発生比率が下がっている可能性もありますが、ポイントは3本に1本はインプラント周囲炎になっているという事実です。

我々がこうしたことを一つの現実としてを知っておくことは、インプラント治療施設を選ぶためにはとても重要なことです。診療室とは別に手術室がある、歯科用CTを設置している、滅菌設備があるなどはもちろんです。そして「外科」、「補綴」、「歯垢」の3つの原因の内、一つもしくは複合して引き起こされるインプラント周囲炎を防げる治療を受けることができる施設を探す事が、より安全で安心な、尚且つ長期にわたって確実に機能するインプラント治療を受け、術後快適な生活を送ることができるのです。

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