「インプラント手術技術の進歩」

ご存知の方もおられるかもしれませんが、外科手術に「ダヴィンチ」という機器があります。これは術者が手術室の外で操作しながら手術をするものです。術者は滅菌済のオペ着や手袋を着用することなく機器を操作し手術を終えることができます。とは言いましても、手術室で患者様の術中管理をするスタッフは従来通りです。では、こうしたデジタル機器を使用する大きな利点は何か?と考えてみると、手術そのものがより確実で安全に短時間でできる事です。こうしたデジタル技術で手術を行えることは、治療技術の平準化が進むと同時に普及も早くなります。

さて、このような流れの端緒がインプラント治療にも現れてきました。インプラントの老舗の会社から新しい技術が近々導入されるようです。簡単に申し上げますと、CTをとる時に手術部位に指標となる目印を装着してデータをとり、それを元にコンピューターのモニター上で診断と手術方法や使用する適切なインプラントの検討を行い、決定することができます。「ダヴィンチコード」のように遠隔操作ではありませんが、このプロセスの後、術者はモニター上のナビゲーションで手術を行えます。当然、安全性をどう担保するかが気になるところですが、事前に決定した手術計画通りに施術が行われなければアラームがでる仕組みをアプリケーションに組み込んであります。これは従来のお口の中を見ながら行っていた治療からすれば大きな変化です。本当に大丈夫かという声もあろうかと思いますが、医療先進国である欧米で開発・実用化された手術機器の例と同様、この歯科用機器も一定の開発期間の機械的試験を終了後、臨床使用を行い市場導入するプロセスを経ております。また、欧米では、製品の瑕疵は直接会社の株価と訴訟に大きく影響を与えるという経営責任を問われますので、企業は新規性のある製品ほど慎重に市場に導入します。このような背景を考慮しますと安心して良いかと思います。

そして、これを導入しますと今まで使用していたガイド用のステントが必要なくなりますので、インプラント費用の一定の部分を削減できます。「一定」と申し上げましたのは、この機器を購入するクリニックの長期投資費用の一部分や消耗品の費用は当然患者様負担になるからです。

既に日本で販売するための認可も取得し、徐々に使用するクリニックが増加すると思います。この機器がこれからも進化を遂げ、競合品も現れ、企業間の開発競争により、より確実に、より安全に、低侵襲のインプラント手術がもっと普及することを願ってやみません。

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