「日本の歯医者は時代遅れ!」?

2月11日にYahooニュース「日本の歯医者は時代遅れ! タイで歯科治療したら日本の歯医者には二度と行きたくなくなった件」取材・文/タカ大丸氏 (HARBOR BUSINESS)について、日本の治療レベルとの比較で誤解が生じないように私の考えを皆さんと共有出来たらと思います。

その記事の主たる内容は、タイで行われている根管治療は顕微鏡やラバーダムを使った1回2時間近くの治療を1週間のうちに2回受けて治療が終わる。費用は前歯が32,400円、奥歯が54,000円。タイへの渡航費がかかっても(低価格の航空会社を使用すれば)日本で長々と保険治療を受けるより、タイでの治療の方が良いとの事です。この筆者はこれからも取材を続け、日本との格差を詳述していくようです。また、タイの全ての歯医者が同じレベルの治療を提供しているかどうかは定かではありません。
彼が指摘しているように、日本の歯科クリニックは専門分野別に別れていません。一方、諸外国では、根管治療、インプラント、歯周病、補綴とそれぞれの専門分野に分かれた治療をクリニックが提供しています。タイでは根管治療の専門医院で処置後、別の補綴専門医院で歯冠のような上物の治療をするようです。米国でも同じようなシステムで諸外国では一般的です。ここが、日本独自の世界に誇れる国民皆保険制度があるために、我々の治療システムと大きく違う点です。諸外国と違いこの制度により私達は保険証1枚で必要最低限の治療を日本中どこでも一定の費用で受けることができます。異論もあるかと思いますが、個人的には良い制度であると思っています。

さて、では日本の歯科医院は専門分野別でないために治療レベルは低いのでしょうか?実情は、根管治療、インプラント、歯周病など専門別に学会があり、それにスタディグループと呼ばれる歯科医師のグループが沢山あります。そのグループは、多くの志の高い歯科医師や専門家が集い、学ぶ場として機能しています。具体的には会議でメンバーの先生方の症例報告や症例検討会を行ったり、最先端の知識や技術を習得する為の講演会、実際の機器を使って研修会など知識や技術を高め、日々研鑽しています。時には世界最先端の治療を行っている海外の歯科医師や専門家を講師として招聘する事もあります。また、メンバーの先生方はまだ日本に導入されていない最先端の治療を学ぶ為に海外の国際学会へ出席したり、実際の患者様への治療を間近で見学し学ぶ事ができる研修を受講されたりもしています。そういった先生方の治療レベルは決して欧米にひけをとりません。

しかしながら、こうした専門的な治療の多くは保険適用ではなく実費となります。金額的に考えますと、タイでお金を払うのと同じように、日本でも自費治療としてのお金を払えば高度で専門的な治療を受けることができるのです。冒頭で引用した金額ですが、タイでの根管治療費に歯冠などの上物が含まれているか定かではありません。顕微鏡、ラバーダムなどを使用するような治療の技術料だけと考えた場合には、日本で自費治療で支払う金額と大差はないかと思います。また、治療後のメインテナンスなども考慮に入れなければなりません。 私も20年近く前に、新しい根管治療の製品を日本に初導入した経験があります。それは、歯科医師が顕微鏡を使用して歯の内部を拡大して見ながら根管を切削する為の機材でした。今は自費治療として根付いています。バンコクの根管治療のレベルの知見はありませんが、前述した自費の根管治療の日本のレベルは、欧米諸国と比較しても高いレベルにあります。

まとめますと、日本の保険治療のお話だけでは日本全体の治療のレベルを見誤る可能性があります。『日本の歯医者は時代遅れ!』ではありません。日本でも高度で専門的な治療が受けられる事を知っていただきたいと思います

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