「FDAの認可と治療を受ける側」

さて、今回は前回に関連して『FDAの認可と治療を受ける側』の関係を考えてみましょう。

まず、最初に理解しておかないといけない事ですが、FDAなど諸外国の認可があるからと言って直ぐに日本での認可がおりる訳ではありません。認可がない、もしくは、許可を申請中である医療品であっても、諸外国で購入して日本に持ち込む、あるいは、直接輸入する、または誰かに持ってきてもらう、などの方法があります。しかし、これらの方法は医療品の個人輸入という特別な方法であります。そのために医療品の承認の有る無しに関わらず日本に持ち込む場合は医師免許を添付して個人輸入という通関手続きをする必要があります。そして責任の所在は、日本にある会社ではなく個人輸入の医療品を患者様の手術や診療に使用する場合は、使用するために輸入した医師が、治療とその後の経過に全責任を負います。つまり、起こることに関する医療面やそれに必要な金銭面での全ての責任を負うということです。

FDAの認可製品であっても、日本では通常のルートで輸入していない製品は、輸入した個人の責任になります。

さてここからは、インプラントの問題発生時についてお話しいたします。インプラントなど体内に残るものは製造会社もしくは輸入会社が全て納品先とその製造番号を法的な義務として記録しています。そうすることにより、日本国内で問題が発生した場合、輸入会社が納品した医院や病院に発生した不具合の事象と対処方法を迅速に連絡することができるのです。その後の対応は全て医療機関を通して患者様に行います。記録が無い場合はこうした対応をとってもらえません。

そのために、日本に支社がある海外の製造会社は、海外で購入依頼があっても必ず日本支社を通して購入して頂くよう医院や病院に伝えますし、先生方が海外の本社や販売会社に直接訪問されても販売する事はありません。従いまして、通常のルート以外で購入したインプラント体を使用された場合に不具合やリコールが発生すると、それに対する通知やその後の対応を何ら会社に期待することはできません。ここでのポイントは、非正規輸入品もしくは個人輸入品と呼ばれるインプラント製品は日本国内にある会社の責任範囲外となり、我々患者は国内で保証を受けられないという事なのです。

でも、使用した医師が全責任を追うので良いでないかという意見もあります。理論的にはそうですが我々が実際に考えないといけない事は、インプラントの再手術は上部構造とインプラントの抜去と、そして再度のインプラント埋入手術と上部構造作製などのそれ相応の治療費用がかかります。不具合の数が少なければ、まだしも、患者数が多い場合は輸入した個人で全ての患者様に同じように対応できるかは疑問です。一方、正規輸入品であれば輸入会社が全費用を負担します。極端な例かもしれませんが、治療を受けた医院のある地域から引っ越した、とか、治療を受けた施設が閉院したなどの事情で他の施設で治療を受ける場合でも輸入会社からの財政的なサポートを受けることができます。

FDAの認可品であるからと言っても、非正規輸入品・個人輸入品を使用した場合のリスクを患者である我々が背負う必要はありません。後々のことを考え、正規のルートで輸入された製品を使用してくれる施設で受診してください。

ページトップ