インプラント治療への希望

治療というのはどのような方法であっても、治療を受ける我々患者のメリットが最優先されるべきです。治療の目的は「生活の質の向上」つまり「生活の質のレベルの改善」です。日常生活の中で歯は、「歯」という漢字が示す通り、口の中で米(食べ物)を噛むという、我々が生きていく上で欠かせない活動を行う時の人体の入り口なのです。従って、口はとても重要な身体の部分であり、歯はその部品の一つです。食べる話すと機能で身体全体に活力を与え、生命を維持する活動を助けることを担う歯はとても大切なものです。そう考えると行き着くところ、歯を失った場合はより自分の歯(天然歯)に近い歯を代替としするべきだと言うことになるのではないでしょうか。つまり、自然歯に近い機能を果たし、更に見た目にも良い歯になる治療を選択することが重要です。

そうであるなら、高齢化が進む中で政府は保険制度でカバーしていないインプラント治療を考え直す時期に来ているのでは無いかと思います。この自費診療を高齢者に対して、保険で全額負担、もしくは一部負担を考えるべきではないでしようか。というのは、高齢者になるほど口から物を噛んで食する事がより健康に寄与すると考えられているからです。歯がない方々、特に高齢者にこの治療に対する保険の助成があれば、結果的に健康に非常に良い効果が出ると思います。より健康な歯を維持する事で高齢者の病気が少なくなったり、病気の程度が軽減されるのではないでしょうか。その結果、毎年約1兆円ずつ増えている国の医療費への支出も減るのではないかと思います。

次に、より安全で確実なインプラント手術の発展を我々患者側から考えた場合、「安全、確実」は勿論ですが、「短時間」そして「低侵襲」(身体への負担が少ない)がポイントです。その為には、多くの先生方が安心して取り入れる事の出来る標準化された手順の確立(十分な臨床例に基づいた)とその不断の改善、そしてそれを広く普及させる努力が必要です。特に、インプラントにおいてはその日に仮歯ではなく最終の人工歯が入ることを目標にして製品と医療技術が発展していくことを願っています。

一方、侵襲の大きい治療ではありますが、治療のために失った骨や足りないの骨を補う時、自分の骨を他の部位に移植して使用する手術方法があります。こうした侵襲の大きい治療から少ない治療への移行のため、自分の骨を使わなくて良い近年のバイオ医療の発展が大きく貢献できるのではと期待しています。この分野は大学も含め多くの機関で研究開発が進められていますが、新しい技術が完全に一般に応用できるようになるまで、かなりの時間を要すると思います。このように、バイオ製品や安全で人の骨に近い人工の製品などが出てくれば、低侵襲治療の幅が広がると大きな期待ができます。

そして、将来の1つの大きなゴールは、医療技術と製品の進歩により、全国、いや全世界で同じレベルの治療を我々患者がいつでも受けられるということなのではないでしょうか。これを推進するためには、産学協同という産業と医療を担う人々の協働体による知識と技術の進歩と発展が今まで以上に加速されることを願っています。そうなれば近い将来、医科で既に臨床使用されている遠隔操作による手術支援ロボットの小型化による低侵襲の治療が歯科領域で始まる日が来るのも近いと思いを馳せています。

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