歯のインプラント治療とは

1962年、スウェーデンのブローネマルク博士が実験中に偶然にチタンと骨との結合(オッセオインテグレーションと呼びます)を発見し、1965年から臨床応用が開始されました。その後今までに継続的かつ臨床的に、製品と技術の両方に改良が重ねられてきた治療方法です。その間にチタン製以外の新しい材質やインプラントの表面性状(表面に塗布する材質)の開発や新しい形状の製品導入など常に改良がなされています。今までに発刊されている多くの解説本や雑誌の説明などにありますように、今日では既に製品、操作方法、手術方法、治療技術及び安全性が確立されております。それから歯のインプラント治療は歯科医院や多くのホームページでも専門的に詳細がよくわかるようになっております。が、治療を受ける患者側からこの治療を一言で申しますと、「以前あった歯を人工歯にした結果、日常生活において歯がなくなったということを意識しなくなる」事です。


インプラントの構成

インプラント治療に使用する製品の基本構成は、大まかに分けてインプラント体(ネジの構造で出来ている歯の骨に埋めるもので、人工歯根とも呼ばれます)、支柱(アバットメントと呼ばれ、インプラント体の上に固定し人工歯を支える役目のもの)、人工歯(インプラント体と支柱の上に乗っている歯として見えるもので、クラウン、歯冠とも呼ばれたりします)の3つです。これらにより、歯のない部分に以前のように天然の歯の代わりをする歯を作ります。その方法は、歯のなくなった位置もしくはその近辺の歯の骨に、段階的に直径の違う数種類のドリルのようなもので開けた空洞(穴)にインプラント体を回していれます。それから数ヶ月後インプラント体が歯の骨と結合し固定されます。そしてインプラント体に支柱を入れて、その上に人工歯を医療用セメントまたはインプラント用ネジで固定する事により完成します。


インプラント, 歯

インプラントとそれ以外の治療方法

インプラント治療以外の選択肢としては、ご存知の入れ歯やブリッジと呼ばれるものがあります。こうした治療方法の詳細も、インプラント治療と同じように多くのウェブサイトで説明されています。当然、機能、見た目、費用から見るとそれぞれに一長一短があります。しかし患者満足度からすれば、インプラントはつけたりはずしたりする手間がかかりませんし、比較論ですが、歯があった時に近い感覚で日常を過ごせるインプラントを使った 歯の治療は十分に検討に値すると私は思っています。


インプライント治療の進化

インプラント治療の製品と手術方法は日進月歩で改良されています。インプラント手術の基本形は歯のあった場所もしくはその近辺の歯肉を切開し、歯の骨の状態を目で見て確認することから始まります。併せて、目視以外のレントゲン等の画像診断も行ない、その後歯の骨にドリルで穴を作り、そこに適切な深さにインプラントを埋入(まいにゅう)し、その上に人工歯をつけるという方法です。

さて、ここでは画像診断と治療の進化についもう少しお話しましょう。以前は手術前にX線撮影による2次元的な画像で歯と骨の状況を把握し、手術を計画していました。今やそれが進み、CT撮影によるデジタル情報から事前に3次元的な立体画像として歯の周辺の状況を把握出来るのです。立体画像によって、歯や骨の形状や幅や高さだけでなく奥行まで、それに密度までも正確に把握してから手術方法を計画出来るというように進化しています。その上に、埋入(まいにゅう)するインプラントの本数にも変化が見られ、より少ない本数のインプラント体で数本の歯を支える方法が考え出されました。加えて、歯の骨の質や量によりインプラント治療が出来なかった方々への手術方法などが考え出され、実現されてきています。この方法の利点は、埋入するインプラント体の本数が少なくなることによって手術時の身体への負担が軽減されたことです。と共に、本数が少なくなることで手術費用も削減されています。そしてその結果、インプラント治療の適用症例が増えることにもなりました。昨今のソフトウェアでは、事前に得られたデジタル情報からコンピューター上で手術後の人工歯を入れた状態を想定し、立体画像で見る事ができます。埋入する場所、適切な深さ、方向(インプラント体をまっすぐ垂直に入れるとは限りませんので)、それからどのような形状のインプラント体を使用すれば良いかも決めることができます。このようなソフトを利用してインプラントの埋入手術前に、手術をサポートする「支台」を作成する方法もあります。この「支台」を手術中に口の中の歯と歯茎に装着し、それをガイドとしてインプラント体を確実に計画通りの位置に埋入する手技もすでに行われています。当然ですが、事前に最終的な口の中の状態をコンピューター上でシミュレーションすることができるようになっています。こうして手術方法は年々革新され、従来の症例はもとより複雑で困難な症例も安全で確実な治療が可能となってきています。こうした進歩は当然インプラントの耐久性にも良い影響を与えています。


治療計画

これまで述べてきました通り、インプラント治療は日々発展をとげ、今日では安全が確立された治療法です。しかしながら、全ての治療に言える事ですが、生身である我々患者の状態により治療方針は変わりますし、そうでなければなりません。実際、治療はそれぞれ一人一人異なるテーラーメードです。結論として、治療計画は先生方の知識・経験や我々患者側の健康状態、それに、保険が適用されない自由診療のために予算なども考慮して決められる事になります。

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